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【推定原因を報告】逆走し衝突した「横浜 シーサイドライン」の事故原因はケーブル断線【安全装置 / 自動運転制御メカニズム】

更新日:

6/15 事故推測原因発表につき更新

 

6/1に自動運転での運行時に逆走により事故を起こした「横浜シーサイドライン」

国土交通省は6月14日に事故防止に向けた検討会を開きここで推定原因を報告した。(推定原因はサイト下部に追記)

5/11にも無人駅のシャッターが開かないトラブルが発生していた。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-166898.html

「ゆりかもめ」や「日暮里・舎人ライナー」にも同無人運転システム

「ゆりかもめ」や「日暮里・舎人ライナー」にも同様のシステムが導入されており山手線でも導入を検討されている実績のある自動運転システムでなぜこのように事故がおこってしまったのか、「横浜シーサイドライン」の自動運転安全のメカニズムを解説したいと思います。

シーサイドライン 車両

https://www.seasideline.co.jp/company/system/system_03.html

形式 2000型
編成 5両固定編成/定員236名
車体寸法 長さ:8000mm/幅:2467.4mm、高さ:3343.9mm
電気方式 直流750V
制御方式 VVVFインバータ(IGBTによる2レベルPWMインバータ)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ ブレーキ受信装置
車両性能 (最高速度)60km/h
(加速度) 3.5km/h/s
(減速度) 常用 3.5km/h/s 非常4.5km/h/s

走行方式

シーサードラインの車両は型式2000型と呼ばれるもので5両の固定編成です。最高速度は60kmで写真見ればわかるよにタイヤが装備されています。

レールを走行するのではなくモータの動力により回転するタイヤにより道路のような軌道上をバスのように走行する乗り物です。

ブレーキ装置

シーサイドラインのブレーキ装置は4系統別回路で用意されており万が一いずれかのブレーキが故障しても別系統のブレーキが動作する仕組みとなっています。

自動走行制御メカニズム / 安全装置

https://www.seasideline.co.jp/company/system/index.html

「横浜シーサイドライン」は大きく分け二つの自動運転制御システムと複数の安全装置を用いて制御されています。

自動列車運転装置(ATO装置)

ATO装置とは無人走行時に運転手の代わりをする装置です。ATO装置は車両に搭載している「車上ATO装置」と駅に設置している「駅ATO装置」間で通信をやり取りして走行します。「車上ATO装置」にはすべての路線データが記憶されておりこのデータと後述するATC信号で走行距離データを検出して次の駅で自動停止する仕組みとなっています。さらに距離補正アンテナを設置し、誤差を修正し正確に列車を停止させます。

自動列車制御装置(ATC装置)

この装置は列車の走行スピードを制御する装置です。他の方式の電車でも採用されている装置です。列車のスピードが制限速度を超えた場合、自動でブレーキをかけ減速させます。また、他の列車に異常接近した場合など非常ブレーキにより停止させることができます。またこの装置は2重系となっており、一方が故障してももう片方が機能するバックアップを備えています。

非常用インターホン

https://www.seasideline.co.jp/company/system/

車内には非常時に危険を感じたときなど、緊急事態が発生した場合に、乗客が係員に通報できるように、車両各1台ずつ設置しています。 この装置には、非常停止ボタンもあり、非常時に車両を緊急停車できる機能も備えています。

https://www.seasideline.co.jp/company/system/

また、車内にもカメラが設置され非常時にはモニターできる仕組みとなっています。

運行管理

https://www.seasideline.co.jp/company/system/system_02.html

司令区で列車の進路設定や発車時刻等を制御し、列車が運行ダイヤどおり運行されるように管理しています。

https://www.seasideline.co.jp/company/system/system_02.html

並木中央駅では無人駅を一括集中管理しています。

事故の推測原因

運輸安全委員会は、鉄道人身障害事故に関して、現在、調査、分析等を実施中であるが、これまでの調査において明らかになった事実情報について、
令和元年 6 月 14 日、国土交通省鉄道局へ情報提供を行いました。

報告内容は運輸安全委員のHPに掲載されています。

http://www.mlit.go.jp/jtsb/teikyo_rail.html

進行方向の指令を伝える線の断線

大きな原因の一つに進行方向の指令をモーターの制御装置に伝えるF線という信号線の断線があります。1両目のF線はケーブルを束ねる結束バンドから外れており車両本体の部材に溶着していたという事です。

進行方向を制御するVVVF制御装置はF線とR線からの電圧信号により進行方向を制御しています。F線は上り方向に方向を伝える信号でR線は下り方向に信号を伝える信号線です。今回の事故ではF線のみ断線していました。

この断線によりVVVF制御装置が正しい方向を認識できなかったというのが今回の事故の要因の一つと推測されます。

機器の動作記録

進行方向の指令をモーターの制御装置に伝えるF線が断線して信号が途切れていることは機器が検知しており記録に残っているとの報告です。機器は断線を検知していたにも関わらず安全装置は働かずモータは動作してしまいました。

なぜモーターが逆方向に動作したのか

シーサイドラインの車両のモーターの制御装置の仕様は

モーターの制御装置は、F線・R線とも無加圧の場合、以前の進行方向を維持する仕様

となっています。

事故を起こした車両は折り返し駅の新杉田駅方向に「前進」で進んでいました。到着後、本来の進行方向の金沢八景駅に進む予定でした。

しかしF線は断線しており電圧は無加圧となります。この場合どちらに進むのか?

F線・R線とも無加圧の場合、以前の進行方向を維持する仕様

という事は折り返し駅の新杉田駅方向に「前進」で進んでいた状態を維持して動くという事になります。そして今回の事故に繋がったという推定です。

 

なぜこれだけの安全装置が作動せず衝突事故が起こってしまったのか

「横浜シーサイドライン」の自動運転制御メカニズムを調べてみるとATO装置、ATC装置、車内非常停止ボタン、モニタシステムなど複数の安全装置により自動運転がおこなえるシステムでブレーキ、ATCは複数系統用意されており万が一の故障にも備えており安全対策は万全のように見えます。

今回の報告書を見れば事故が起こった経緯が理解できましたがモーターの制御装置は、F線・R線とも無加圧の場合、以前の進行方向を維持する仕様というのはシーサイドラインだけの仕様であり同じ「同無人運転システム」の他社ではF線・R線とも無加圧の場合は加速しないという仕様です。なぜこの様な仕様になったのかが疑問です。

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